■ 富士マツ耐落選から、急転直下の筑波最終戦参戦へ

8月下旬に納車されたばかりの新型ロードスター(ND5RE / NR-A)。 当初は10月に富士スピードウェイで開催されるマツダフェス「3時間エコ耐久(マツ耐)」でのシェイクダウンを計画していましたが、エントリー受付開始直後にまさかの定員到達で落選……。 「せっかく仕上げるマシンを、このまま走らせずに冬を越すわけにはいかない!」と気持ちを切り替え、急遽ターゲットに定めたのが10月27日開催の「ロードスター・パーティレースIII 東日本シリーズ第4戦(筑波最終戦・NDクラブマンクラス)」でした。

しかし、参戦決定からレース本番までは1ヶ月足らず。ここから過酷な突貫突撃マシンメイクが幕を開けました。

■ 立ちはだかる「ロールケージの壁」と、まさかのDIY決断

パーティレースに参戦するためには、JAF公認の6点式ロールケージ装着が必須となります。 ところが新型ND用ロールケージはメーカー架装のハードルも高く、一般の工場でも作業を引き受けてくれる場所が極めて少ないという、いわゆる“ロールケージ難民”状態。

ショップ経由でなんとか取付をお願いできる工場を見つけて車両を預けたものの、待てど暮らせど作業が進みません。数日経っても作業に取りかかれていない様子で、本番までの時間が刻一刻と迫るなかで焦りが募ります。「このペースで預けていては本番の走行に絶対に間に合わない」と直感し、パッド巻きが完了した段階で車両を即座に引き上げ、残りの組み付け作業をすべて自力で行う決断を下しました。

■ ガレージに籠もってロールケージを自力組み付け

引き取ってきたロールケージのパーツを前に、ガレージでのDIY作業がスタート。 内装パネルをパチパチと外して作業スペースを確保し、メインバーから前後バーへと慎重に仮組みを進めていきました。オープンカーということもあってバーの出し入れ自体は比較的スムーズで、ボルト穴の位置合わせや内装の逃げ加工と格闘すること約3時間、無事に強固な骨格が室内に収まりました。 自分の手でボルトを一本一本締め込んだからこそ、ボディ剛性が一段引き締まった感覚を肌で味わうことができました。

■ 股ベルトアンカーの穴あけ&バケットシート装着

続いて着手したのが、6点式ハーネス(レーシングハーネス)を固定するためのアイボルト設置です。 ドリルを使ってフロアに穴あけ加工を実施。シートスライド時にもしっかりテンションが保てるよう、適切な角度と位置を見極めてアンカーを固定しました。 さらにエスケレートのフルバケットシートを投入し、体格に合わせてミリ単位でポジションを調整。アイボルト位置との干渉を防ぎつつ、理想的なドライビングポジションを構築しました。

■ 足回りのセットアップ&ブレーキのリフレッシュ

NR-A標準のビルシュタインダンパー(Cリング車高調整機能付き)を使い、車高を最も低い段数へとセット。 さらにタイヤショップへ持ち込み、アライメントテスターで精密な数値合わせを行いました。フロントキャンバー1.5度〜1.9度、リアキャンバー1.5度〜2.0度、トーの数値をミリ単位で調整し、コーナー進入時の頭の入りと旋回時のスタビリティをバランスさせました。 仕上げにスーパーオートバックスへ駆け込み、ブレーキフルードを信頼のエンドレス製へと交換。過酷なサーキット走行に耐えうる足回りを整えました。

■ 0.1 Racingカラーのステッカーチューン&ギアの準備

マシンの外観は、大型カッティングマシンを導入して自作したカッティングステッカーでコーディネート。 シックな紺色のボディに白いセンターストライプを引き、チームロゴである「0.1 Racing」を配置してレーシーな佇まいに仕上げました。 さらにイギリスのSparcoから届いた特注のレーシングスーツやHANSも揃い、完全プライベーターながらプロ顔負けの雰囲気が完成しました。

■ 雨の筑波シェイクダウンを経て、いざ本番へ!

完成したマシンを自走で筑波サーキットへ持ち込み、スポーツ走行枠でシェイクダウンを実施。あいにくのウェットコンディションでしたが、新車の挙動やブレーキのタッチ、DSC Trackの効き具合などを肌で確認することができました。

予期せぬトラブルやスケジュールの狂いに翻弄されながらも、文字通りの“手作り”でレースカーへと生まれ変わったゼロポイントワン・ロードスター。いよいよ10月27日、筑波の決勝グリッドへと挑みます!